「どうやって曲って作ってるの?」
音楽をやっていると、よく聞かれる質問です。
でも、答えはけっこう長い。だから今日は、ぼくが1曲を完成させてリリースするまでの流れをぜんぶ紹介してみます。
制作は、いつも“デモ”から始まります。デモは、曲のスケッチみたいなもので、メロディやコード進行、リズムのアイデアをざっくり形にしていく段階です。だいたい2時間くらいで1つのデモを作ってみて、あとから聴き返して「これはいける」と感じたものだけを完成させていきます。
たとえば、今年出した『OH CAPTAIN』という曲も、最初はただのシンプルなメロディから始まりました。今聴くと、完成版とはまるで別物。でも、最初のひらめきにちゃんと向き合うことが、いい曲につながると信じています。
次のステップはブラッシュアップ。足りない要素を見つけて、必要な音を加えていきます。リズムが弱ければキックやスネアを変えるし、コードの響きが物足りなければハーモニーを重ねます。1日で完成することもあれば、何週間も悩むこともあります。
『OH CAPTAIN』は比較的スムーズに進んで、2週間ほどで全体が仕上がりました。
音がすべて揃ったら、今度はミキシングです。音量のバランスや定位、EQ、空間の使い方を調整して、曲に“プロっぽさ”を与える作業。ここでの仕上がり次第で、リスナーに届く印象がまったく変わってきます。
そして、見逃されがちですが大切なのがビジュアルの制作。SpotifyやYouTubeで初めて曲を知る人は、まずカバーアートや映像を見て印象を決めます。ぼくはイラストや映像編集のスキルも活かして、ジャケットやリリックビデオを自分で作っています。SNS用の短いティーザー動画なども、このタイミングで準備します。
曲が完成し、ビジュアルも整ったら、いよいよ配信です。ぼくは「DistroKid」というサービスを使って、SpotifyやApple Music、YouTubeなど複数のプラットフォームに一括でリリースしています。フォームに情報を入力するだけで、全世界に曲が公開されるのは、毎回ちょっと感動します。
そして最後にして、最も大切な部分かもしれないのがマーケティング。
どんなに良い曲でも、誰にも届かなければ存在しないのと同じです。
リリースの2週間前からSNSで告知を始めて、曲の一部をチラ見せしたり、ストーリーと一緒にポストしたり。Spotifyの公式プレイリストに載せてもらうために、自分でプレゼン(ピッチ)もします。そうやって少しずつ、曲が広がっていく。
最近では、ある曲が1ヶ月で4万再生を超えて、自分でも驚いています。努力は、ちゃんと届くんだなって思いました。
リリース後は、再生数やコメントを見ながら反省と分析。うまくいったことも、ちょっと微妙だったことも、すべて次の曲に活かします。